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サイトフィッシングによるチヌ前打ち釣法の紹介

 

<更新履歴>

2021.5.8

 1.1.3. ■チヌに近付く最適な角度と天気を追加

 

=== 目次(タップでジャンプ) ===

1.1. ■科学的観点

1.1.1. ■フィッシュウィンドウ

1.1.2. ■チヌから釣り人が見え難い角度と距離

1.1.3. ■チヌに近付く最適な角度と天気

1.1.4. ■保護色

1.1.5. ■科学的根拠に基づく釣りスタイル

1.1.6. ■水平角20度の測定方法

1.1.7. ■チヌに気付かれない適度な距離

1.1.8. ■スネルの法則

 


 

 

1.1. ■科学的観点

チヌを理論だけで釣ることは難しいですが、釣法の基礎知識として科学的観点を念頭に入れることで、釣果を上げることが可能と考えています。

 

1.1.1. ■フィッシュウィンドウ

渓流釣りの考え方としてフィッシュウィンドウがありますが、サイトフィッシングによるチヌ前打ちにも、フィッシュウィンドウは重要な考え方です。

特に写真の様な砂地で周りに何も障害物が無い場所に居るチヌを釣るために、フィッシュウィンドウと臨界角を意識するようになって格段に釣果が向上しました。

 

 

チヌから釣り人が見え難い角度

下記は、水中から空気中を撮影した写真です。

真上は空気中の景色がしっかり見えますが、斜めの角度になると空気中の景色が湾曲して見え難くなり、更に見る角度を下げると、水面が鏡になって海底が映り込みます。このチヌから釣り人が見え難い現象を利用して釣ります。

 

水中から空気中を見た場合に、水面が鏡なって空気中が見えなくなる境界を臨界角で、水面が鏡なっている領域を全反射です。渓流釣りでは、魚から空気中の景色が見易い領域をフィッシュウィンドウウと呼ばれているようです。

 

例えば、護岸からチヌが見えて近づいていくと、ある程度近づくと一気に逃げ出します。これは釣り人がフィッシュウィンドウ内に突然入ってきたのでビックリして逃げ出したと考えることもできると思います。

 

参考文献:http://www.toray-sf.or.jp/activity/science_edu/pdf/h16_04.pdf

 

釣人からチヌを見る場合について

チヌから釣り人が見え難い角度で、釣人からチヌを見た場合は、はっきり見えるのです。この現象は、2つの媒体(空気と水)を光線が屈折現象を起こしているためで、詳細は後で説明しますが、下記の2点がポイントになります。

 

①水中(チヌ)から空気中(釣り人)を見た場合

チヌから釣り人は、角度によっては見え難くなります。

 

②空気中(釣り人)から水中(チヌ)を見た場合

チヌから釣り人が見え難い角度でも、釣り人からはチヌがはっきり見えます。

 

1.1.2. ■チヌから釣り人が見え難い角度と距離

チヌが釣り人を見難い角度と距離

チヌ(水中)から釣り人(空気中)を見た場合に、空気中の水面を基準に水平角が0度から19.9度の範囲が、水中の48.6度から45度の範囲に空気中の景色が湾曲して約1/5に縮んで見え難くくなります。

 

例えば、

チヌが居る水深が1m、水平角20度、護岸の水面からの高さ2m、釣り人の身長が170cmとすると、チヌに気付かれない距離は約11.8m(10.9m+0.9m)離れると良いことになります。

 

科学的観点は、波や濁りを考慮していませんので基本的な考え方として捉えて頂ければと思います。

波や濁りが有れば更に見え難くなりると思いますので、水平角20度以上や、距離を詰めても気付かれ難い可能性があります。

 

 

 

釣り人からチヌを見る

釣り人(空気中)からチヌ(水中)を水平角19.9度で見ると、実際のチヌは屈折して44.9度の角度に居ますが、釣り人は認識できるためチヌに気付かれずに餌打ちができることになります。ただ、実像を基準に餌打ちのポイントを決める必要があります。

 

 

 

 

 

臨界角と全反射について

水中から空気中を見た場合の臨界角は48.6度になります。

48.6度以下は水中から水面を見ると水面が鏡になって海底が映る角度でして全反射の領域になります。

 

例えば、水深1mに居るチヌが空気中を見ると、半径0.9m以上は水面が鏡(全反射)となります。

 

 

 

 

 

 

臨界角の半径の計算

 臨界角の半径は、ざっくりチヌが居る水深と同じ距離になります。

 

 

 

 

実践的観点との整合性

実際に5.4mの竿を持って水面から2m程度の護岸を歩いてチヌを見つけた場合、竿2本分までは簡単に近づけるため科学的観点と整合性がとれます。約11mから更に前打ちができる距離まで如何に近づくには服装を保護色、ゆっくり動作、竿の振り方や、風・太陽光・物陰利用などノウハウが必要になります。チヌとの距離を長く取るために長竿(6.3m/7.2m)を使うことは勧めできません。私は当初チヌとの距離を取るために6.3mをメインに使っていましたが、竿振った時に竿先がフィッシュウィンドウに入ってチヌが逃げる確率が高いです。現在は極力近付いて5.4mの軽い竿を巧みに操ることで釣果が上がりました。

 

1.1.3. ■チヌに近付く最適な角度と天気

●チヌに近付く最適な角度

チヌに気付かれずに近付く最適な角度は、チヌの真上付近の水面を基準に目線の高さの水平角が20度程度と考えています。

理由は、チヌ(水中)から釣り人(空気中)が見え難い角度は、水平角を小さくすべきですが、水平角を小さくすると反射光が増えて釣り人からチヌを見た時に水面がギラギラしてチヌが見難くなります。

 

 

●見えチヌを釣る最適な天気

一般的なチヌ釣りは、晴れた日より曇や雨がチヌに気付かれ難いため良いとされていますが、見えチヌを光の屈折を利用して釣るには、光量が多い晴れた日がベストです。光量が多いと水中が良く見えますので、水平角20度を意識して近付くことが容易にできるようになります。

 

1.1.4. ■保護色

保護色を意識することも重要と考えています。

 

保護色とは、体の色が背景と同色となり見分けがつき難いことで、イワシ、ブリなどの青物系の魚は、背中が青色、腹が白色になっています。

例えば、イワシの上から見た場合は海の色と同系色となっており、鳥から見つかり難くくなています。

また、イワシの下から見た場合は海面がキラキラした白色系でブリなどから身を守る保護色と言われています。

 

そこで、釣り人の服装とPEラインの2つについて保護色を意識して、白色系にしています。

 

<服装は上下ともに白系>

白色系にすることで、チヌに気付かれないように近付ける効果があるように感じます。

 

PEラインは白色>

PEラインがフィッシュウィンドウ内を通過した時に少しでもチヌに気付かれないよう考えています。

ただ、実際には思った効果は感じられないですが、白色を使い続けています。

 

<竿>

竿もが良いと考えているのですが、市販では白色の前打ち竿は無く、致し方なく他の色を使っています。

 

<キャップ>

キャップも白が良いと思いますが、なかなか気に入ったのが無く他の色を使っています。

 

写真が実際の釣りスタイルです

 

 

1.1.5. ■科学的根拠に基づく釣りスタイル

科学的根拠に基づいた釣りののスタイルです。

写真は、石畳の高さが約2mで、水際から50cmの距離、水深が50cmに居るチヌを5.4mの釣竿で狙っています。

 

竿を振る立ち位置を水平角が20度以下にするため、石畳の際から下がり姿勢を低くして、素早く竿を振って、チヌに気付かれずフィッシュウィンドウの外側にカニ餌打ちができて、チヌに気付かれないようにカニ餌が着底でき、数秒後にチヌがカニ餌に気付いて食ってくる思い描いたストーリーになれば、心の中でガッツポーズです。

なお、竿を振る立ち位置まで移動する動作は、竿を寝かせて竿先がフィッシュウィンドウに入らないようにして、ゆっくり近付くことが重要です。早く竿を振る立ち位置まで移動しようとするとチヌに気付

かれて逃げます。

 

 

餌は、臨界角の半径を意識して全反射の領域に打ち、PEラインが臨界角の内側に海面に着水しないように竿を操作します。浅場での釣りは、PEラインが臨界角の内側に着水すると逃げるケースが多いです。また、釣り人からチヌを見ると実像は手前に屈折していますので、実像と虚像を考えて餌打ちのポイントを決めます。

 

 

 

 

 

1.1.6. ■水平角20度の測定方法

水平角20度の確認は、分度器(プロトラクター)を目の前に持って、見えているチヌの真上の水面からの角度を測定します。

 

 

 

1.1.7. ■チヌに気付かれない適度な距離

チヌに気付かれない距離を計算

 条件: 臨海角:48.6度、水面を基準に水平角:20度、 釣り人身長:1.7m

     波は無し、濁り無しとします。

 

 

 

                                単位:m

 

 

チヌに気付かれないよう距離を詰めて釣れる最適な条件

上記の計算式より、水面から釣人までの高さを低くすれば、チヌから気付かれないように距離を詰める事が可能になります。そこで、水面が高い満潮時に護岸の上から釣るか、干潮に河川に入って釣ることで、距離を詰めることができます。

 

例えば、干潮時に河川に入って釣った場合は、身長1.7mで5.2mまでチヌ近付けるので4.5mの竿が使えます。短い竿を使うことで狙ったポイントへの餌打ちの精度が向上するため高釣果が期待できます。

 

ただ、別の問題として、

満潮時は、水深が2m以上になると、餌が沈んで着底までの時間が長くなり、自然界では海底に生息してるカニ餌などが沈んでいるのをチヌが見て違和感を感じて警戒して釣れなくなります。また、冬場の干潮時に河川に入っても海底と水面の温度差が1.5度以上あると、干潮時に浅場にチヌが近寄らない問題があります。

 

釣り易い時期

水温が高い夏場や、下層と上層の水温差が無い河川で、干潮時に川に入って釣る事です。トップページに水深約20cmで44cmのチヌを釣った写真を掲載していますが、決してまぐれでは無く、理にかなった釣り方を行っています。

 

1.1.8. ■スネルの法則

チヌから釣り人を見る景色と、釣人からチヌを見る景色は、2つの媒体(空気と水)を光線が屈折現象により、同じ景色には見えないのです。実際にチヌから釣り人が見え難い角度はスネルの法則で計算できます。

 

スネルの法則

スネルの法則で水の入射角から空気中への出射角度(偏角)を求めることができます。

   n2*(sinθ2) = n1*(sinθ1) :n2=>空気の屈折率(=1) n1=>媒質の屈折率 

 

水中(チヌ)⇒空気中(釣り人)

この計算式のポイントは、実際の空気中の景色の角度範囲がθ4の0度~19.9度(範囲19.9度)が、チヌが見た場合に、入射角θ1の45度~48.7度(範囲3.7度)に屈折して縮んで湾曲して見えるため、

釣り人が見え難くなります。

 

  θ2 = sin^-1(n1*(sinθ1))

  θ3 = θ2 - θ1

n1:水の屈折率は1.333で計算

水とは真水です。実際は汽水域ですから条件が多少異なります。

   

 

空気中(釣り人)⇒水中(チヌ)

この計算式のポイントは、釣り人がθ320度で水中のチヌを見た場合に、θ4は20度とならず屈折して45.2度になります。

 

虚像: 目の錯覚でθ4は20度にチヌが居るように見えます。

実像: 実際には屈折現象により、少し手前の45.2度に居ます。

 

また、釣り人から水中のチヌの見える景色は、θ4の45.2度~41.7度(範囲3.5度)が、空気中で5度~20度(範囲15度)となり、チヌは小さく見えるのです。

 

  θ2 = sin^-1((sinθ1)/n2)

n2:水の屈折率は1.333で計算

水中とは真水です。実際の値は汽水域ですから条件が多少異なります。