サイトフィッシングによるチヌ前打ち釣法の紹介
<更新履歴>
2022.2.20
1.9. ■釣果実績章に2021年の実績を追加
2020.09.26
1.1. ■見えている良型チヌの数釣り章の章名称を変更し内容を更新
=== 目次(タップでジャンプ) ===
サイトフィッシングによるチヌの前打ちの魅力を紹介します。
サイトフィッシングの魅力は、なんといっても見えている大型チヌに打った餌に、チヌが近づいて、口をパクパクさせて餌を口の中でコロコロさせながら食い込んだ後、その場所からゆっくり泳ぎ去ると、ラインがスーッを引き込まれて、合わせを入れるとチヌが横向きになり、いぶし銀をキラリとさせて猛ダッシュで逃げ出し、竿が強烈に絞り込まれ糸鳴りがします。この光景を目の当たりにすると、見えないチヌを100匹釣るより、1匹の見えるチヌを釣る方がメチャクチャ楽しいです。
目の当たりにするチヌが餌を食うパターンは多様で、釣れなくても見ているだけで飽きないです。
・その場で居食いして休む(動かない)
・食って一気に泳ぎ去る
・餌を食い込まず甘噛みして持ち去る
・食った瞬間に吐き出して逃げる
・餌に20cm程度まで近づいて1~2秒見て見切って逃げるチヌ
・フグが先に餌を食っているとチヌは横取りせず遠巻きで見ている
釣り方のコツを修得は、見えているチヌ相手なので逃げ出す状況を目の当たりにできるため、何が悪いか問題点と取り組むべき課題が明確です。課題の解決に、本書を参考にして頂ければ嬉しいです。
下記の写真は、水深50cm程度の海底に約45cmのチヌが単独行動で、小さなゴロタ石に付いた牡蠣などを食べているシーンです。1匹で単独行動しているチヌは、複数匹が群れている場合より、釣り上げる確率は高く絶好のターゲットとなります。
釣り方に慣れると、信じられないかも知れませんが、写真のように海底が砂地で、透明度が抜群でチヌが丸見えの場所の方が、テトラや石畳などの障害物がある場所や、濁ってチヌが見えない条件より、半日で2桁の数釣りが普通にできるようになります。釣れるサイズも平均40cmくらいで年無しも全釣果の2~3%程度釣れます。
魚が見えない釣りでは、釣れないと魚が居ないからと、自身の技量ではなく、魚のせいにしてしまう心境になりがちです。見えている魚が相手だと、ほぼ100%自分自身の技量が足りないから釣れないことになります。
見えている魚が相手なので、何が原因で釣れないのか一目瞭然です。
そこで、釣れない原因の対処方法を考えて、釣行してもチヌは思いもよらぬ行動をする場合が多々あり、思うように釣れません。釣れないと悔しいですが、チヌの行動は見えていますからどうやったら釣れるかヒントも発見できます。試行錯誤しながら釣りができますのでサイトフィッシングによる前打ちを10年以上行って、今では見えチヌを半日で2桁釣りが普通にできるようになりましたが、まだまだ見えチヌの動きに新しい発見があり飽きないです。
また、見えているチヌを相手に釣っていると、濁りなどで見えないチヌを釣る場合に、どうすれば良いか最適な対処方法を選択できるようになると思います。
チヌの行動について実例をいくつか紹介します。
●餌がすっぽ抜けた時のチヌの行動
チヌが食ったので合わすが、すっぽ抜けてボロボロになったカニ餌だけがあがってきた時に、チヌはカニが何処行ったか前後左右に泳いでキョロキョロしながら探しているのです。すかさずボロボロのカニを打ち返して、チヌが気付くと沈んでいるボロボロのカニに食らいついてきます。
●チヌの視界の範囲
カニ餌をチヌの真上にそっと着水させて、沈んでいくカニがチヌの視界に入った瞬間にビックリして大抵のチヌは逃げますが、稀に少し離れて弧を描くように振り返ってガン見して逃げて、再びカニ餌に近付いて食ってくる場合もあります。
●好奇心旺盛なチヌの行動
着底したカニを発見して約20cmまで近付いて危険を察知した場合は、大抵のチヌは逃げ出しますが、稀に好奇心旺盛なチヌは2m位離れて止まり、気になるのか振り向いて再び近付いてガン見して、やっぱり危険を感じたのか逃げ出すチヌもいます。
趣味において何事にも言えるのですが、他人にとやかく言われず、自身の思い描いたやり方(ストーリー)で楽しむことが大事と考えています。これがストレス解消にもなり、翌日からの仕事の活力の源にもなります。
釣りにおいても、自宅を出発する前から、今日はあの場所で、こうやって、ああやって釣ろうとストーリーを思い描いて、いざ釣り場に着くと予想外の多くの釣り人が居て、ようやく空いた場所に入って、釣りを始めるも、隣の人から「そんな釣り方では釣れんよ」と指摘される等々、なかなか釣りを楽しむ事がでない場合が多いです。
その解決の一つとして、河川でのチヌの前打ち釣りと思います。
河川でチヌが釣れる場所は無数あり、自分の思い描いたストーリーで釣る事ができます。思い描いたストーリーで釣ると、多くの失敗もすると思いますが、それも楽しいひとときになると思います。
ただ、闇雲のチヌの前打ちを始めても、釣れない日々が続いて、面白くなくなると思いますので、本書を参考にして頂き、自分に合ったスタイルとストーリーでチヌの前打ちを楽しんで頂ければと思います。
チヌの前打ちに夢中になったのは、時間・場所に制約されることなく釣人が少ない場所で、自由気ままに釣りできるにも関わらず、見えている良型チヌの数釣りが楽しめる事です。
釣るポイントは、水深50cmから150cmが中心の海底が見える浅場が中心ですから、一般的な釣り方では浅すぎて不向きのため、釣人は殆ど居ません。
こんな場所でも釣れると思われかも知れませんが、写真のような河川敷の遊歩道など足場が良く、テトラや石畳などが無く、海底の砂地から遊歩道まで石積みをコンクリートで固めた駆け上がりの場所でもサイトフィッシングで大型チヌが釣れます。
下記の遊歩道は、満潮でも水深が1.5m程度と浅く、散歩されている方から「何が釣れるのか」と、よく聞かれます。チヌを釣っていますと答えると、大抵「ここでチヌが釣れるの?」と不思議そうな顔して返事が返ってきます。しかし、写真のポイントで釣れるチヌは、殆ど40cmオーバーで最長寸は53.5cmでした。
趣味に費やすお金は気にしないことが基本ですが、やはり先立つものが無ければ…。
釣行した時に干潮で、餌を採取して持ち帰り冷蔵庫(少しでも温度が高い野菜室)で保管して、次回釣行する1~4週間後に使っています。
チヌ釣りと餌採取を繰り返せば、エサ代は掛かりません。また、テトラ・石畳など構造物周辺であれば冷凍カニでも釣れます。イガイの場合は、ネットに入れて冷蔵庫(野菜室)で2週間程度は生きています。
参考までに、冷凍イガイは、解凍した時に貝が開き使えません。
写真のような干潮時に餌を採取します。
また、夏場であれば、干潮時の浅場でチヌが釣れますので、餌箱を持たず餌を採取しながらの釣りも楽しめます。
前打ちのチヌ釣りは、専用の道具を準備しなければ釣るのは難しいと思われかもしれませんが、サイトフィッシングによるチヌの前打ちは、専用の道具を揃えなくても、有り合わせのタックルで始めることができます。
●初めて前打ちを行うために必要な道具の一例
●必要最低限の道具
<釣竿>
5.4mの竿があれば、8割以上の釣り場で対応できると思います。竿は風が吹いても狙った場所に餌を落とし易い硬めの先調子が使い易いです。当りはラインで取るため竿の穂先の硬さは関係ないです。
<リール>
スピニング/両軸/片軸の何れのリールでも使えます。
ただ、浅場で掛けたチヌは猛ダッシュで横走りする場合がありますので、急激な引込に対応できるドラグを細かく調整できるリールがお勧めです。
<タモ網>
網は直径40~50cmで、タモの枝は5m程度が使い易いです。
<エサ入れ>
持ち歩くのは面倒なので腰にセットできればベストです。
初心者はカニ餌が使い易いのでタッパーを準備します。カニ専用の餌箱は不要で、深めのタッパーにカニを入れて、這い出さないようにします。タッパーの下にナイロンタワシを引いてカニが弱らないようにして、ビニール袋に入れて腰にぶら下げると良いです。
私自身も年間通して9割以上はカニを使っています。
●仕掛け
<釣針>
チヌ針1~2号(銘柄問いません)
最初は2号が使い易いと思います。
<ハリス>
1.7号(フロロカーボン)
長さ 2m(50cmで良いケースもありますが、2mあれば何処でも使えます)
<ガン玉>
2B
針に付けるため柔らかガン玉は不向きです。
<ライン>
PE1号
白色は様々な天候でも見易く、チヌから警戒され難いと考えています。
余談ですが、赤色は水中で見え難いと言われていますが、水深が深い条件の場合で、水深
2m以下でははっきり赤色は見えます。
<仕掛け>
ラインとハリスは8の字結びで直結します。
●餌の付け方
扱いや入手が簡単なカニ餌の付け方は「釣り方 餌観点」章を参照して下さい
個人的に、渡船で磯や沖一文字で渡って釣るのは、船頭に釣らして頂いている感がするのです。河川の汽水域でのチヌ前打ちは、ネット検索しても一般的なポイントの情報は掲載されていますが、実際にチヌが釣れるポイントは無数にあります。ポイント調査は、衛星写真やストリートビューの情報だけを頼り調べます。釣れそうな河川に釣行して釣れると、自分で調べて自分の足で探した格別の釣果になります。
チヌは河川の浅場・深場・干潮時の川筋で海水が無いと思える場所など、こんな場所にも居るのかと思えるようなポイントに居る場合もあり、チヌの居場所を探すのも楽しみの一つです。前打ちの利点は、水際から餌が届く範囲であれば、水深に関係なく釣りができますので、新しく発見した場所で、釣れると満足できる1匹となります。
例えば、写真のように干潮時に海に帰らず水深20~30cm程度の物陰で休んでいるチヌを釣る事ができます。更に、干潮から潮が満ちて河川に海水が上ってくると、休んでいたチヌが潮に乗って上流に向かって泳いでカニなどを捕食し始めます。この水深が20~40cm位の30分間程度の間は、チヌは活性が高く、入れ食いになる確率が高い絶好のチャンスタイムになります。
何といっても河川の浅場で良型の見えチヌの数釣りができることは楽しいです。
見えチヌの釣り場は、河川の汽水域の水深50~150cmが中心になります。
●釣果実績
前打ちを2010年から初めて12年間の実績は下記の通りです。
3458匹 (サイズが30cm以上のみ集計)
濁りや水深が深くチヌが見えないサイトフィッシング以外で釣った数も集計に加えています。
●釣り場
瀬戸内海全域(和歌山県、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、大分県、宮崎県)がメインの釣り場となります。
その他に、高知県、三重県、島根県、鳥取県、福井県、石川県、富山県にも釣行していますが河川の汽水域においては、瀬戸内海と比べて日本海側や太平洋側はチヌの魚影は少なく感じます。今まで80本の河川に釣行した経験から個人的な考えとして、干満差が大きい場所の河川の汽水域はチヌにとって好条件かと思われます。
<特記>
特に2019~2020年の2年間は、平均サイズアップや、1日の平均匹数が向上できたのは、気象情報や釣り場環境、フィッシュウィンドウなどを数値化した科科学的データや、数値化できないノウハウなどの記録データを分析して良型の見えチヌを釣る確率を高めるために定義したプロセスの完成度と、そのプロセスをコントロールする精度が向上して、見えチヌの数釣りができた結果だと思います。
更に2022年は、チヌの死角に餌打ちして喰わす釣法で、見えているチヌだけで年間500枚程度釣って釣果がアップしています。